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2022年5月11日水曜日

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英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その7) -
1891年5月4日の午後、
マイリンゲンを出発したシャーロック・ホームズと
ジョン・H・ワトスンの二人は、
宿の主人ピーター・ステイラーの勧めに従って、
ローゼンラウイへの向かう途中、
ライヘンバッハの滝を見物して行くことにした。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(Sydney Edward Paget 1860年 - 1908年)


シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人は、旅を再開することにして、ストラスブール(Strasbourg)からジュネーヴ(Geneva)へと向かうことに決めた。彼らは旅を続け、1891年5月3日にスイスのマイリンゲン(Meiringen)に到着して、ピーター・ステイラー(Peter Steiler)という老人が経営する宿「イングリッシュホフ(Englischer Hof)」で一泊した。


そして、翌日の同年5月4日、運命の日を迎える。

その日の午後、ホームズとワトスンの二人は、丘を越えて、ローゼンラウイ(Rosenlaui)の村に泊まる予定で出発した。二人は、ローゼンラウイへ向かう途中、ライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)に寄って行くよう、宿の主人から念を押されていた。

滝を見物する二人の元へ、スイス人の若者が、ピーター・ステイラーからの手紙を携えて、やって来た。手紙によると、末期の結核を患っている英国人女性が宿に到着したが、喀血して非常に危険な状態で、同国人の医師であるワトスンに診察をお願いしたい、とのことだった。

ワトスンとしては、ホームズ一人を残していくことに躊躇したが、人命救助を優先して、マイリンゲンの村へと引き返すことに決めた。ワトスンは、英国人女性の診察後、ホームズを追いかけ、夕方、ローゼンラウイでホームズと合流することにした。

ワトスンがマイリンゲンの村へと引き返す途中で振り返ると、ホームズは、岩に寄り掛かって、腕組みをしながら、滝を眺めているのが見えた。実は、ピーター・ステイラーからワトスンへの手紙は、ホームズの宿敵で、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)が書いた偽物で、ホームズを一人にするためのものであることが、後で判明する。そして、ライヘンバッハの滝を眺める姿が、ワトスンが見たホームズの最後の姿となったのである。


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英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その8) -
偽の手紙に気付いて、マイリンゲンから
ライヘンバッハの滝へと戻ったワトスンであったが、
そこにホームズの姿はなく、
登山杖が道に突き出した岩に立て掛けられており、
側には、ホームズ愛用の銀の煙草入れと
ノートから破り取られた紙3枚(ワトスンへの手紙)が置かれてあった。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

1891年7月の「ボへミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)」を皮切りに、
「ストランドマガジン(Strand Magazine)」にほぼ毎月ホームズ作品を連載していたサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)であったが、毎回新しいストーリーを考え出して作品を創作することが、彼にはだんだん苦痛となってきていた。また、ドイルとしては、自分の文学的才能は長編歴史小説の分野において発揮/ 評価されるべきと考えており、ホームズ作品は彼にとってはあくまでも副業に過ぎなかったのである。

ところが、「ストランドマガジン」を通じて、ホームズ作品が予想以上に爆発的な人気を得るに至ったため、ドイルは、ホームズ作品の原稿締め切りに毎回追われる始末で、自分が本来注力したい長編歴史小説に時間を全く割けない状況であった。

そこで、彼は、1893年12月の「最後の事件(The Final Problem)」において、モリアーティ教授と一緒に、ホームズをライヘンバッハの深い滝壺の中に葬ってしまったのである。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その9) -
ライヘンバッハの滝の断崖絶壁において、
ホームズが、復讐のために、
彼をここまで追跡して来たジェイムズ・モリアーティー教授と
命を賭けて格闘する場面が描かれている。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)


「最後の事件」が「ストランドマガジン」に掲載された際、読者は大いに嘆き悲しみ、ロンドン市民は正式な喪に服すべく、黒い腕章を身につけたとのことである。更に、2万人以上の読者が「ストランドマガジン」の購読を中止した上、何千通もの抗議の手紙が出版社宛に届けられたそうである。更に、ドイルに対しても、抗議、非難や中傷の手紙が多数送り付けられた。

しかしながら、ドイルの決意は固く変わらず、長期間に渡り、読者や出版社からの要望を拒否し続け、ホームズが復活することはなかったのである。


2022年5月8日日曜日

コナン・ドイル作「最後の事件」<小説版>(The Final Problem by Conan Doyle ) - その2

英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その4) -
シャーロック・ホームズの指示通り、
複雑な経路での移動後、ヴィクトリア駅に到着したジョン・H・ワトスンは、
ホームズに指定された列車の客室に入ると、
そこには、ホームズの姿はなく、
代わりに、イタリア人の老神父がいるだけだった。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(Sydney Edward Paget 1860年 - 1908年)

1891年4月24日の晩、ジョン・H・ワトスンの医院に、突然、姿を現したシャーロック・ホームズは、ワトスンに対して、驚くべき話を始めた。


彼の宿敵で、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)を含めた一味が彼が仕掛けた罠に嵌って、スコットランドヤードが一網打尽にするまでの間、ホームズは、ワトスンと一緒に、欧州大陸へと身を隠すことにしたのである。ホームズは、ヴィクトリア駅(Victoria Station → 2015年6月13日付ブログで紹介済)から欧州大陸へ向かう計画であった。

ワトスンは、ホームズの頼みを快く引き受けると、今夜は泊まっていくように勧めたが、ホームズは、ワトスン一家に迷惑が及ぶことを懸念して、辞退する。翌日(1891年4月25日)にヴィクトリア駅で合流する方法について、早口で説明すると、ホームズは、庭からモーティマーストリート(Mortimer Street → 2015年6月6日付ブログで紹介済)へと続く塀を乗り越えると、直ぐに笛を吹いて、ハンサム型馬車(二人乗り一頭立て二輪の辻馬車)を呼んだ。庭に居るワトスンには、ホームズが馬車に乗って去って行く音が聞こえた


ホームズの指示通り、ワトスンは、その夜、欧州大陸へ持って行く荷物を、宛先なしでヴィクトリア駅へと発送した。

そして、翌朝、ワトスンは、ハンサム型馬車(hansom:二人乗り一頭立て二輪の辻馬車)を呼び、それに飛び乗ると、ロウザーアーケード(Lowther Arcade → 2015年5月30日付ブログで紹介済)のストランド通り(Strand → 2015年3月29日付ブログで紹介済)側へと向かった。勿論、これも、ホームズの指示通り、やって来た馬車のうち、最初と2番目の馬車は避けた。

馬車がロウザーアーケードのストランド通り側に停まると、ワトスンはアーケードを駆け抜けて、午前9時15分にアーケードの反対側に着き、そこに待っていた小型のブルーム型馬車(brougham:一頭立て四輪箱馬車)に乗り込むと、無事、ヴィクトリア駅へと向かうことができた。

実に、複雑な経路での移動であった。


ホームズに指定された列車の客室(=先頭から2番目の一等室)にワトスンが入ると、そこには、ホームズの姿はなく、イタリア人の老神父(Italian priest)が居るだけだった。

発車の寸前、イタリア人の老神父が変装を解くと、それはホームズだった。驚くワトスンに対して、ホームズは、用心のための変装だと説明した。更に驚くことに、動き出した列車の窓から、プラットフォームに立つ人達を掻き分けて、列車を止めようとして追い縋るモリアーティー教授の姿が見えた。ホームズとワトスンは、モリアーティー教授の追跡から、ギリギリで逃れることに成功したのだった。


とりあえず一安心のホームズは、ワトスンに、

(1)昨夜、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)の部屋が、モリアーティー教授の一味に放火されたこと

(2)ロウザーアーケードからヴィクトリア駅までワトスンを乗せたブルーム型馬車の大柄な御者は、兄のマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)であったこと

等を説明した後、ヴィクトリア駅で自分達を捕らえられなかったモリアーティー教授は、特別列車を用意させて、自分達を追跡してくるものと予想した。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その5) -
ヴィクトリア駅でホームズを捕らえそこなった
ジェイムズ・モリアーティー教授は、
特別列車を用意させて、ホームズを追跡した。
ホームズとワトスンの二人は、荷物を列車内に残したまま、
途中駅のカンタベリーで下車して、
モリアーティー教授を乗せた特別列車を遣り過ごした。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

このままでは、港において欧州大陸へと向かう船を待つ間に、モリアーティー教授に追いつかれると考えたホームズは、途中駅で降りて、姿を隠し、モリアーティー教授を遣り過すことに決めた。荷物を列車内に残したまま、ホームズとワトスンは、途中駅のカンタベリー(Canterbury)で下車して、身を隠していると、モリアーティー教授を乗せた特別列車が彼らの前を走り抜けて行ったのである。


モリアーティー教授の追跡を再度逃れたホームズとワトスンの二人は、当日の夜、ブリュッセル(Brussels)に辿り着くと、そこで2日間滞在して、3日後にストラスブール(Strasbourg)へ移動した。

ストラスブールからロンドンのスコットランドヤードに電報で連絡を取ったホームズは、その夜、モリアーティー教授の一味を一網打尽にすることはできたものの、残念ながら、モリアーティー教授を取り逃がしてしまったことを知るのであった。


モリアーティー教授は、全てを投げ打ってでも、自分に対して復讐をすると考えたホームズは、自分への危害がワトスンの身にも及ぶことを案じ、彼に対して、ロンドンへと戻るように勧めるが、ワトスンとしては、ホームズの勧めを受け入れる気は全くなく、最後までホームズに同行するつもりだった。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その6) -
モリアーティー教授の追跡を逃れるべく、
ホームズとワトスンの二人は、
ストラスブールを出発して、ジュネーヴへと向かった。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

ホームズとワトスンの二人は、旅を再開することにして、ジュネーヴ(Geneva)へと向かうことに決めた。彼らは旅を続け、1891年5月3日にスイスのマイリンゲン(Meiringen)に到着して、そこで一泊する。


そして、翌日の同年5月4日、運命の日を迎えるのであった。


2022年5月7日土曜日

ソフィー・ハナ作「3 / 4 の謎」(The Mystery of Three Quarters by Sophie Hannah) - その2

英国の HarperCollinsPublishers 社から2018年に出版された
ソフィー・ハナ作「閉じられた棺」の裏表紙(ハードカバー版)
      Jacket Design : Holly Macdonald / HarperCollinsPublisher
       Jacket Illustration : Shutterstock.com

謎の人物が、ポワロの名を騙って、バルナバス・パンディー(Barnabas Pandy)の殺害者として糾弾している4人であるシルヴィア・ルール(Sylvia Rule)、ジョン・マックローデン(John McCrodden)、アナベル・トレッドウェイ(Annabel Treadway)とヒューゴ・ドッカーリル(Hugo Dockerill)および彼らの近親者について、エルキュール・ポワロは調査を始めた。

当初、アナベル・トレッドウェイを除くと、シルヴィア・ルール、ジョン・マックローデンとヒューゴ・ドッカーリルの3人には、バルナバス・パンディーとの関連性は、全くないように思われたが、ポワロが調査を進めると、以外にも、バルナバス・パンディーとの関連性が次第に明らかになってきたのである。


<第1グループ>

・シルヴィア・ルール

・クラレンス・ルール(Clarence Rule) - シルヴィア・ルールの夫(故人)

・ミルドレッド・ルール(Mildred Rule) - シルヴィア・ルールの長女

・エウスタース・キャンベル(Eustace Campbell) - ミルドレッドの婚約者

・フレディー・ルール(Freddie Rule) - シルヴィア・ルールの長男で、ミルドレッドの弟


偶然なのか、フレディー・ルールが、ターヴィルカレッジ(Turville College - 男子の全寮制学校)において、アナベル・トレッドウェイの姉レノーレ・ラヴィントンの長男であるティモシーと同級生であった。その上、ヒューゴ・ドッカーリルが寮監を務めている。


<第2グループ>

・ジョン・マックローデン

・ローランド・マックローデン(Rowland McCrodden) - ジョンの父親で、弁護士事務所「Donaldson & McCrodden」のパートナーの一人。また、死刑制度の信奉者でもあるため、「死刑執行人ローランド(Rowland Rope)」と呼ばれている。


<第3グループ>

・アナベル・トレッドウェイ

・レノーレ・ラヴィントン(Lenore Lavington) - アナベルの姉

・セシル・ラヴィントン(Cecil Lavington) - レノーレの夫(故人 - 4年前に感染症で死去)

・アイヴィー・ラヴィントン(Ivy Lavington) - レノーレの長女

・ティモシー・ラヴィントン(Timothy Lavington) - レノーレの長男で、アイヴィーの弟

・キングスベリー(Kingsbury) - 執事


アナベルとレノーレは、バルナバス・パンディーの孫で、アイヴィーとティモシーは、バルナバス・パンディーの曽孫であり、本件の直接関係者である。

アナベルは、昔、彼女の愛犬を連れて、アイヴィーと一緒に散歩に出た際、アイヴィーと愛犬が川で溺れかけるという事態に遭遇した。アナベルは、アイヴィーと愛犬を川から救助しようとしたが、愛犬が暴れたため、アイヴィーの顔に愛犬による引っ掻き傷がハッキリと残ってしまい、その責任から、その後、独身を貫いているようであった。


<第4グループ>

・ヒューゴ・ドッカーリル

・ジェーン・ドッカーリル(Jane Dockerill) - ヒューゴの妻


ティモシー・ラヴィントンが学ぶターヴィルカレッジにおいて、ヒューゴ・ドッカーリルが寮監を務めている。また、彼は、ジェーンとの結婚以前に、アナベル・トレッドウェイに求婚したことがあった。


ポワロによる調査の結果、シルヴィア・ルールが属する第1グループ、アナベル・トレッドウェイが属する第3グループ、そして、ヒューゴ・ドッカーリルが属する第4グループの3つについては、ターヴィルカレッジにおいて学ぶティモシー・ラヴィントン / フレディー・ルールを介在して、相互に繋がりがあることが判ってきた。ところが、ジョン・マックローデンが属する第2グループに関しては、今のところ、他の3グループとの関連性が全く見えてこなかった。


ポワロによる調査は、更に進む。


昨年(1929年)の12月7日に浴室で溺死したと伝えられているバルナバス・パンディーには、その死の直前、謎の行動が見られた。


(1)50年程前、彼が経営していた炭鉱において、ヴィンセント・ロブ(Vincent Lobb)という人物を監督者として雇っており、非常に友好な関係を築いていたが、何らかの理由により、その関係は断たれ、その後、ヴィンセントのことを「仇敵(old enemy)」と呼んでいた。ところが、何故か、彼は、急にヴィンセントとの関係を修復しようとして、ヴィンセント宛に謝罪の手紙を出していた。彼の突然の心変わりは、何が原因なのか?


(2)彼の顧問弁護士で、弁護士事務所「Fuller, Fuller & Vout」のシニアパートナーであるピーター・ヴォウト(Peter Vout)によると、彼は遺言書の内容を変更しようと考えていた、とのこと。ただし、彼が遺言書の内容を変更する前に亡くなったため、当初の遺言書に基づいて、彼の遺産は、レノーレとアナベルの2人の間で、均等に相続されたのであった。

これについては、レノーレも証言しており、彼女によると、祖父(バルナバス・パンディー)が亡くなる前に、祖父から個別に「遺言書の内容を変更しようと考えている。つまり、アナベルを相続人から外そうと思っている。」と聞かされた、とのことだった。


ということは、アナベル自身も、祖父が自分を彼の相続人から外そうとしていることを知って、祖父を殺害したのだろうか?

殺害動機としては、十分であるが、バルナバス・パンディーが浴室で溺死しているのを、執事のキングスベリーが発見した際、アナベル、レノーレとアイヴィーの3人は、ずーっと一緒に居て、片時も誰もその場を離れたことはなかった訳で、アナベルのアリバイは完璧であったのだ。


謎の人物が、ポワロの名を騙って、糾弾の手紙を送りつける意図は、一体、何なのか?4人宛に糾弾の手紙を送りつけることによって、謎の人物は、一体、何を達成しようとしているのか?

また、4人の中で、唯一、バルナバス・パンディーとの関連性が全く見えてこないジョン・マックローデンであるが、彼という 1/4 のピースは、一体、この事件にどのように嵌るのか?

そして、謎の人物が糾弾する通り、バルナバス・パンディーは、本当に殺害されたのだろうか?


2022年5月4日水曜日

デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 墓場からの復讐」(The further adventures of Sherlock Holmes / Revenge from the Grave by David Stuart Davies) - その1

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2022年に出版された
デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 墓場からの復讐」の表紙

「墓場からの復讐(Revenge from the Grave)」は、英国の作家であるデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ(David Stuart Davies:1946年ー)が、Titan Publishing Group Ltd. から、「シャーロック・ホームズの更なる冒険(The further adventures of Sherlock Holmes)」シリーズの一つとして、2022年に発表した作品である。

作者のデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、英語の教師を経て、フルタイムの編集者、作家かつ劇作家に転身している。


デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、ホームズシリーズとして、2004年に「欺かれた探偵(The Veiled Detective → 2021年4月21日 / 4月28日 / 5月5日付ブログで紹介済)」を、また、2014年に「悪魔との契約(The Devil’s Promise → 2022年3月5日 / 3月12日 / 3月19日付ブログで紹介済)」を発表している。


「墓場からの復讐」は、次のようにして始まる。


1891年1月、パリの郊外にある邸宅において、シャルル・オベール(Charles Aubert)は、窓越しに月に照らされた庭を見つめながら、書斎である人物を待っていた。彼は、その人物から脅迫を受けていたのである。

彼が室内の物音に気付いて振り返ると、燃え盛る暖炉の向こう、部屋の暗がりの中から、彼が待っていた人物であるデファージュ夫人(Madame Defarge → 英国の小説家であるチャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens:1812年ー1870年)作「二都物語(A Tale of Two Cities)」(1859年)に登場する架空の人物と同じ名前)がその姿を現した。シャルル・オベールは、要求されていた金貨を渡す代わりに、脅迫を受ける元となった手紙を返すように告げるが、デファージュ夫人は、短剣を取り出すと、彼の喉を搔き切ると、その場を立ち去ってしまう。

パリへと戻ったデファージュ夫人は、ある計画を考えていた。彼女は、パリにおいて、強盗、脅迫や殺人等を実行する、小規模ながらも非常に有能な犯罪集団を組織していたが、次のステージへと進もうとしていたのである。


1891年5月4日、シャーロック・ホームズと彼の宿敵で、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of Crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)の2人がスイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)にその姿を消して、彼らは死亡したものと思われていた。更に、その約6ヶ月後、ジョン・H・ワトスンは、最愛の妻であるメアリー(Mary)を亡くし、友人と妻を失った彼は悲しみのどん底に居た。


幸いなことに、3年後の1894年5月、ホームズは、無事にロンドンへと帰還し、「空き家の冒険(The Empty House)」事件において、ワトスンやスコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)と協力の上、モリアーティー教授の片腕であるセバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)の捕縛に成功した。

そして、ワトスンは、古巣のベーカーストリート221B(221B Baker Street)へと戻ると、ホームズと一緒に、祝杯を挙げたのである。


ところが、事件の翌々日の朝、ホームズとワトスンが一緒に朝食の席に着いていると、そこへレストレード警部が駆け込んで来る。なんと、折角、捕縛したモラン大佐が、牢屋から逃亡したのである。

レストレード警部によると、昨夜、ピアソン警部(Inspector Pearson)と名乗る人物が、2人の警官を帯同の上、ワンズワース刑務所(Wandsworth Prison)へとモラン大佐を護送するために、スコットランドヤードにやって来た、とのこと。当直の警官は、それを信じて、モラン大佐の身柄を彼らに引き渡してしまったが、後で調べてみると、彼らは偽者である上に、渡された書類は偽造されたものだった。つまり、モラン大佐の仲間による手助けにより、モラン大佐は自由の身となってしまったのである。


ピアソン警部と名乗る人物は、ホームズ宛の手紙も残していた。

ホームズは、レストレード警部から受け取った封筒から手紙を取り出すと、ショックを受けたような顔で読んだ後、一言も言わないで、ワトスンに手紙を渡した。その手紙には、次のように書かれていた。


‘Just to let you know, Mr Holmes, that I have returned and I am ready to exact my revenge. Take care. Take very great care. Yours sincerely, Professor James Moriarty.’


ホームズと同様に、モリアーティー教授自身も、ライヘンバッハの滝から無事に生還して、ホームズに対する復讐に着手しようとしているのだろうか?


2022年5月2日月曜日

ソフィー・ハナ作「3 / 4 の謎」(The Mystery of Three Quarters by Sophie Hannah) - その1

英国の HarperCollinsPublishers 社から2018年に出版された
ソフィー・ハナ作「閉じられた棺」の表紙(ハードカバー版)
      Jacket Design : Holly Macdonald / HarperCollinsPublisher
       Jacket Illustration : Shutterstock.com


本作品「3 / 4 の謎(The Mystery of Three Quarters)」は、英国の詩人で、小説家でもあるソフィー・ハナ(Sophie Hannah:1971年ー)が、アガサ・クリスティー財団(Agatha Christie Limited)による公認(公式認定)の下、エルキュール・ポワロ(Herucule Poirot)の正統な続編として執筆の上、2018年に発表された。

本作品は、「モノグラム殺人事件(The Monogram Murders → 2021年12月11日 / 12月18日 / 12月26日付ブログで紹介済)」(2014年)と「閉じられた棺(ひつぎ)(Closed Casket → 2022年1月1日 / 1月8日 / 1月15日付ブログで紹介済)」(2016年)に続く第3作目に該る。


1930年2月のある日、満足がいくまで昼食を堪能した名探偵エルキュール・ポワロが、ホワイトヘイヴンマンションズ(Whitehaven Mansions)まで戻って来ると、建物の玄関には、60歳位の女性が、怒りを押し隠しながら、誰かを待っていた。

戻って来た人物がポワロだと判ると、シルヴィア・ルール(Sylvia Rule)と名乗る女性は、ポワロに対して、「今朝、貴方から手紙を受け取った。その手紙によると、私がバルナバス・パンディー(Barnabas Pandy)なる人物を殺害したと糾弾しているが、これは、一体、どういうことなのか?」と、怒り心頭だった。シルヴィア・ルール自身、バルナバス・パンディーという人物を全然知らなかった。

ところが、ポワロには、そのような手紙を出した覚えが、全くなかった。


訳が分からないポワロが部屋へと戻ると、そこには、ジョン・マックローデン(John McCrodden)と名乗る40歳位の男性が、彼を待っていた。

驚くことに、ジョン・マックローデンも、シルヴィア・ルールと同様に、「今朝、貴方から、私がバルナバス・パンディーなる人物を殺害したと糾弾する手紙を受け取った。」と告げる。ジョン・マックローデンも、バルナバス・パンディーという人物に全く心当たりがなかった。

ポワロとしては、出した覚えがない手紙を受け取った人物が、早くも、2人目となったのである。


不可思議なことは、まだ続いた。翌日の午後3時、アナベル・トレッドウェイ(Annabel Treadway)と名乗る女性が、ポワロを訪ねて来た。

なんと、彼女も、ポワロに対して、「貴方から、バルナバス・パンディーを殺害したと糾弾する手紙を受け取った。」と告げるのであった。これで、3人目である。

ただし、これまでの2人とは違い、彼女は、バルナバス・パンディーなる人物を知っていた。彼女によると、バルナバス・パンディーは、彼女の祖父だった。彼女の両親が火事で亡くなった後、当時、7歳だった彼女と姉であるレノーレ(Lenore)の2人は、祖父であるバルナバス・パンディーに引き取られ、それ以降、一緒に暮らしていた、とのこと。ところが、3ヶ月前に該る昨年(1929年)の12月7日の夜、バルナバス・パンディーは、浴室で溺死していた。享年94歳。

その時、屋敷(Combingham Hall)内に居たのは、アナベル、彼女の姉であるレノーレ、レノーレの娘であるアイヴィー(Ivy)、そして、執事のキングスベリー(Kingsbury)の4人だけと、アナベルは証言する。また、祖父のバルナバス・パンディーが浴室で溺死しているのを発見したしたのは、キングスベリーで、アナベル、レノーレとアイヴィーの3人は、ずーっと一緒に居て、片時も誰もその場を離れたことはなかった、とのこと。

昨日までは判らなかったバルナバス・パンディーなる人物のことが、ハッキリとしてきた。しかしながら、誰が、ポワロの名を騙って、3人の人物に対して、糾弾の手紙を送っているのだろうか?


その翌日、午前11時40分まで待って、新たな訪問客がないことを確認すると、ポワロは、カフェ「Pleasant’s Coffee House」へと出かけた。

ポワロがカフェに居ると、50歳近い男性から声をかけられた。ヒューゴ・ドッカーリル(Hugo Dockerill)と名乗る男性は、ターヴィルカレッジ(Turville College - 男子の全寮制学校)の寮監を務めている、と言う。ヒューゴ・ドッカーリルによると、ホワイトヘイヴンマンションズを訪ねたものの、ポワロが不在だったため、執事のジョージ(George)に、カフェ「Pleasant’s Coffee House」へ行ってみるよう、勧められた、とのことだった。

ヒューゴ・ドッカーリル自身も、「貴方から、バルナバス・パンディーを殺害したと糾弾する手紙を受け取った。」と告げる。遂に、これで、4人の人物が、ポワロの名を騙る謎の人物から、糾弾の手紙を受け取ったことになる。


しかし、今のところ、アナベル・トレッドウェイを除くと、シルヴィア・ルール、ジョン・マックローデンとヒューゴ・ドッカーリルの3人には、バルナバス・パンディーとの関連性は、全くないように思われた。

謎の人物は、何故、アナベル・トレッドウェイに加えて、バルナバス・パンディーとの関連性がないと思われる3人に対しても、糾弾の手紙を出しているのか?謎の人物の目的は、一体、何なのか?バルナバス・パンディーは浴室で溺死したことになっているが、謎の人物が糾弾する通り、本当に、彼は、4人のうちの誰かに殺害されたのだろうか?


2022年5月1日日曜日

コナン・ドイル作「最後の事件」<小説版>(The Final Problem by Conan Doyle ) - その1

英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その1) -
突然、ジョン・H・ワトスンの医院を訪れたシャーロック・ホームズは、
ジェイムズ・モリアーティー教授をはじめとする犯罪組織に、命をつけ狙われていた。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(Sydney Edward Paget 1860年 - 1908年)


英国の小説家で、推理 / サスペンスドラマの脚本家でもあるアンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz:1955年ー)は、コナン・ドイル財団(Conan Doyle Estate Ltd.)による公認(公式認定)の下、シャーロック・ホームズシリーズの正統な続編として執筆の上、2011年に発表した「絹の家(The House of Silk → 2022年1月29日 / 2月5日 / 2月12日付ブログで紹介済)」に続く第2作として、2014年に「モリアーティー(Moriarty → 2022年4月2日 / 4月10日 / 4月15日付ブログで紹介済)」を発表した。


シャーロック・ホームズと彼の宿敵で、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)の二人がスイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)にその姿を消した1891年5月4日から、物語の幕があがる。その出来事の5日後、米国のピンカートン探偵社(Pinkerton Detective Agency)に所属するフレデリック・チェイス(Frederick Chase)は、ある任務を帯びて、現地を訪れた。そして、マイリンゲンのセントマイケル教会の地下聖堂に、3人の男性が一同に会した。


1人目は、フレデリック・チェイス。

2人目は、スコットランドヤードのアセルニー・ジョーンズ警部(Inspector Athelney Jones - サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「四つの署名(The Sign of the Four → 2017年8月12日付ブログで紹介済)」に登場)

3人目は、ライヘンバッハの滝壺から発見された溺死体で、現地の警察によって、彼の手首に付されたラベル(札)には、ジェイムズ・モリアーティーの名前が書かれていた。

ライヘンバッハの滝壺から、ホームズの死体は発見されず、彼の生死は不明であった。


本作品「モリアーティー」は、シャーロック・ホームズシリーズの作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)が発表した短編小説「最後の事件(The Final Problem)」がベースとなっている。


「最後の事件」は、ホームズシリーズの56ある短編小説のうち、24番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(Strand Magazine)」の1893年12月号に、また、米国では、「マクルーアマガジン(McClure’s Magazine)」の1893年12月号に掲載された。そして、ホームズシリーズの第2短編集である「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)に収録された。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その2) -
ホームズは、ワトスンに対して、
彼の宿敵で、「犯罪界のナポレオン」と呼ばれる
ジェイムズ・モリアーティー教授について語るのであった。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット


ジョン・H・ワトスンは、(メアリー・モースタン(Mary Morstan)との)結婚後、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)を出て、医院を開業していた。1890年、そして、1891年の春と、年を経るに従って、ワトスンがホームズに会う機会は、次第に減っていった。新聞記事によると、ホームズは、現在、フランス政府からの依頼を受けて、ある非常に重要な任務のため、フランスに滞在しているようである。


1891年4月24日の晩、ワトスンの医院に、突然、ホームズが姿を現した。以前に比べると、ホームズの顔は蒼白く、かなり痩せているように見えた。遅い訪問を詫びるホームズは、ワトスンの診察室の鎧戸をしっかりと締める。彼の行動を怪訝に思うワトスンに対して、ホームズは、「空気銃を警戒している。」と説明する。「妻は、暫くの間、用事で家を空けている。」と言うワトスンに、ホームズは、「1週間程、欧州大陸へ出かけるので、(自分と)一緒に同行してほしい。」と頼んだ。


事情を尋ねるワトスンに対して、ホームズは、彼の宿敵で、「犯罪界のナポレオン」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授について、詳しく語った。ホームズによると、「モリアーティー教授は、ロンドンで発生する悪事の半分と未解決事件のほとんどに関与している。(He is the organizer of half that is evil and of nearly all that is undetected in this great city.)」とのことだった。

ホームズは、自分と対等の能力を有するジェイムズ・モリアーティー教授と渡り合った結果、彼の周囲に網を張り巡らすことに成功し、3日後には、モリアーティー教授をはじめとする犯罪組織の全員が、スコットランドヤードに逮捕されるところまで漕ぎ着けたのである。


ホームズが仕掛けた網の存在に気付いたジェイムズ・モリアーティー教授は、今朝、ベーカーストリート221Bのホームズの元を突然訪れた。モリアーティー教授に、自分から手を引くように告げられたホームズは、これをキッパリと断る。そのため、即座に、ホームズは、教授配下の者に命を狙われることになった。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1893年12月号に掲載された挿絵(その3) -
1891年4月24日の朝、ベーカーストリート221Bのホームズの元を訪れた
モリアーティー教授は、ホームズに対して、
自分から手を引くように告げられたが、
ホームズは、これをキッパリと断った。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット


同日の昼間、オックスフォードストリート(Oxford Street → 2016年5月28日付ブログで紹介済)へ出かけたホームズであったが、最初は、ベンティンクストリート(Bentinck Street → 2015年5月16日付ブログで紹介済)とウェルベックストリート(Welbeck Street → 2015年5月16日付ブログで紹介済)の角で、突然暴走して来た二頭立て馬車に轢き殺されそうになった。二度目は、ヴァーストリート(Vere Street → 2015年5月23日付ブログで紹介済)を歩いていると、ある家の屋根からレンガが落ちてきて、ホームズの足下で粉々に砕け散ったのであった。


スコットランドヤードがモリアーティー教授を含めた一味を一網打尽にするまでの間、ホームズは、ワトスンと一緒に、欧州大陸へと身を隠すことにした訳なのだ。ホームズは、ヴィクトリア駅(Victoria Station → 2015年6月13日付ブログで紹介済)から欧州大陸へ向かう計画であった。

ワトスンは、ホームズの頼みを快く引き受けると、今夜は泊まっていくように勧めたが、ホームズは、ワトスン一家に迷惑が及ぶことを懸念して、辞退する。翌日(1891年4月25日)にヴィクトリア駅で合流する方法について、早口で説明すると、ホームズは、庭からモーティマーストリート(Mortimer Street → 2015年6月6日付ブログで紹介済)へと続く塀を乗り越えると、直ぐに笛を吹いて、ハンサム型馬車(二人乗り一頭立て二輪の辻馬車)を呼んだ。庭に居るワトスンには、ホームズが馬車に乗って去って行く音が聞こえた。


2022年4月30日土曜日

ボニー・マクバード作「シャーロック・ホームズの冒険 / 芸術家の血」(A Sherlock Holmes Adventure / Art in the Blood by Bonnie MacBird) - その3

株式会社ハーパーコリンズ・ジャパンから
2016年に出版されている文庫版
「シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血」の表紙
   表紙イラスト: 竹中
    ブックデザイン: albireo
→ 出版社としては、日本国内で本が売れることを狙って、
英国の BBC ドラマ「シャーロック(Sherlock)」のノベライズ本のような
表紙イラストにしているのかもしれないが、
個人的には、英国のオリジナル版のように、
オーソドックスなホームズのブックデザインで進めて欲しかった。  


読後の私的評価(満点=5.0)


(1)事件や背景の設定について ☆☆半(2.5)


パリのナイトクラブの花形シャンソン歌手エムリーヌ・ラ・ヴィクトワール(Emmeline La Victoire)の息子であるエミール(Emil)の失踪事件と「マルセイユのニケ(Marseilles Nike)」像の盗難事件の2つを軸にして、物語が進が、舞台がパリから英国のペリンガム伯爵(Earl of Pellingham)の地所へ移ってから、更に、殺人事件が2件発生する。ページ数の割には、話を詰め込み過ぎのきらいがある。最終的には、失踪事件と盗難事件よりも、殺人事件の方が物語のメインになってしまい、当初の主題だった2つの話があっさりと処理されてしまい、やや拍子抜けの感じを否めない。


(2)物語の展開について ☆☆半(2.5)


前半の舞台はパリで、後半はペリンガム伯爵の地所へと舞台を移し、物語は割合とテンポ良くは進む。

前半にフランス人探偵のジャン・ヴィドック(Jean Vidocq)が登場するので、物語の後半、エミールの失踪事件と「マルセイユのニケ」像の盗難事件をめぐって、シャーロック・ホームズとヴィドックの戦いがあるものと予想したが、物語の後半になると、ホームズとジョン・H・ワトスンの2人を除く登場人物がほぼ入れ替わってしまい、ヴィドックが登場する場面はほとんどなく、予想したホームズとヴィドックの戦いも、当然のことながら、全くない。

物語の前半におけるメインとなるエムリーヌ・ラ・ヴィクトワールを含め、物語の前半の登場人物を、後半部分において、うまく生かし切れていない。


(3)ホームズ / ワトスンの活躍について ☆半(1.5)


本作品では、ホームズが打つ手は全て後手後手にまわり、彼が後悔する通り、最悪の結果ばかりを招く。

また、ホームズの不手際も多く、物語の後半、ホームズがある人物に変装して、ワトスンと一緒に、ペリンガム伯爵の屋敷へ潜入することに成功するものの、朝食に発生したあることを通して、屋敷の人達、それも執事に、変装を簡単に見破られてしまうという失態を演じている。

物語全体を通じて、ホームズによる推理の冴えもほとんど見られず、名探偵として、目立った活躍を全くできていない。


(4)総合評価 ☆☆半(2.5)


基本的には、限られた物語の分量(約300ページ)の中に、作者(ボニー・マクバード(Bonnie MacBird))が、自分が書きたいことというか、事件を詰め込み過ぎている上に、物語の前半と後半で登場人物がほぼ入れ替わってしまい、後半において、前半の登場人物をうまく生かしきれていないという難点がある。

当初、話の軸だった2つの事件(失踪事件+盗難事件)に特化して、物語を進めた方が、もっとスッキリした内容になったのではないかと思う。